朝鮮人民軍のこうした動向には、米韓連合軍の機密文書を研究した成果が反映されていると見て間違いなかろう。
一方、朝鮮日報によれば、韓国軍が盗まれた資料の目録を確認できたのは全体の22.5%だけで、あとは何が盗まれたのかすらも把握できていないという。
マティス米国防長官は9日、ワシントン市内で行った講演後の質疑応答で、北朝鮮問題について「今後どうなるか分からないが、大統領が必要とした場合に取ることができる軍事的選択肢をしっかり用意しておかねばならない」と述べ、武力行使の準備を進める考えを示したという。ただ、北朝鮮によって手の内を読まれた状態では、米韓も動くのは難しい。
金正恩氏が暴走を加速させている背景には、「相手の秘密を握った」ことによる余裕があるのかもしれない。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。