北朝鮮は、SA-5地対空ミサイルのシステムの一部であるP-14/5N84Aレーダーを使い、600キロの範囲で追跡、監視を行っているため、元山から300キロのところを飛行していたB-1Bを充分に感知できたはずだ。しかし、もし感知したとしても、SA-5ミサイルの射程距離(250キロ)の外だったため、撃墜できなかっただろうと世界日報は指摘している。
それにしても、金正恩氏もたまったものではないだろう。米韓軍の「斬首作戦」を警戒して動線のあらゆる部分に気を使っているというのに、防空システムが機能しないとあってはどんな努力も無駄だ。金正恩氏としては文字通り、米軍が怖くてトイレにも行けない心情ではないだろうか。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。