そして今では、全国の駅、バスターミナル、市場では必ずと行っていいほど売春の斡旋が行われるようになり、組織化されるようになった。
ちなみに前述の閘門旅館の周辺だが、かつては覚せい剤の密売が行われており、アヘン窟を彷彿とさせるような状況だったという。
名門大学卒業後の8年間、金正日総書記を警護する護衛司令部に少佐として務め、2005年初頭に脱北したホ・ヘイル(仮名)さんは、月刊新東亜2006年8月号とのインタビューで、 「苦難の行軍」の時代には鴨緑江ホテルや閘門旅館の前にタバコに覚せい剤を混ぜて吸う人、火であぶって吸引する人、注射をする人がたむろしていたと証言している。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。