「性上納・飢餓」以外にもある金正恩氏「ポンコツ軍隊」のブラックな実態

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

兵士を労働者として斡旋する、いわば「手配師」の類いのビジネスは、上官にとってオイシい話だ。賃金をまるまる横取りできるからだ。一方、搾取されている兵士たちは、タダ働きをさせられているにもかかわらず、まんざらでもない様子だという。部隊ではまともな食べ物にありつけないが、外で仕事をすれば雇い主からそれなりの食事を提供してもらえるからだ。

兵士にとっては救いかも知れないが、そもそも軍隊が食糧難に陥る原因の一つに、上官が兵士向けの食料を横流しして私腹を肥やしていることがある。つまり、上官は収奪と搾取を同時に行っているのだ。

韓国国防省が発表した2014年国防統計年報によると、朝鮮人民軍の末端兵士の月給はたったの700北朝鮮ウォン(約9円)。市場で売られている小さい器に入った子ども用の冷麺1杯分にしかならない。

勇ましい言葉で米国を威嚇する北朝鮮軍だが、兵士がこのような「出稼ぎ」に出ている状況では、戦争の準備などおぼつかないだろう。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記