「これなら北の方がマシ」韓国社会に幻滅する脱北者たち

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工事現場で働いたが、英単語が理解できないことでバカにされた。また、5フィート(約152センチ)ほどの身長のせいで、職業選択の幅が狭まった。それでも北朝鮮に残してきた家族のことを思って熱心に働き、4500ドル(約49万8000円)を送金した。そんな中、父親が亡くなったとの便りが飛び込んできた。さらに、ブローカーからは脱北費用を払えと裁判で訴えられた。

そんな彼の心が折れてしまったのは、昨年5月のことだった。レンガ運びの仕事をしたのに、社長から約束された給料が払われなかったのだ。警察に駆け込んだが、社長の言い分ばかりに耳を傾け、自分の訴えが受け入れられることはなかった。

怒りのあまり警察署で「北朝鮮に帰って記者会見を開いて何が起きたかを洗いざらいぶちまけてやる」と叫んだ。パスポートを申請し、手持ちの現金をドルに両替し、北朝鮮に帰る準備を進めていた昨年6月22日、警察に踏み込まれて逮捕された。国家保安法6条4項(潜入脱出罪)違反容疑だった。