金正恩氏が最高指導者になる少し前の2011年4月に組織された烽火組は、保衛省、人民武力省(防衛省にあたる)、偵察総局などの権力機関に所属しながら、兵器売買、偽造紙幣や麻薬密売など合法、非合法を問わず外貨を稼ぎ、その外貨は秘密資金として上納されるという。
かつての秘密資金の金庫番だった金正男氏が暗殺され、金正哲氏にその役割が移ったとするなら、暗殺事件の裏には秘密資金をめぐる対立があったことも十分に考えられると李氏は指摘する。
金正恩氏にしてみれば、政治的野心がなく身内として信頼できる金正哲氏が金庫番ならば安心できるだろう。実妹の金与正(キム・ヨジョン)氏は、金正恩氏の公開活動に同行することも多く、精力的に動きながら、兄をサポートしている。