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しかしハッキリ言って、爆撃機が上空をデモ飛行したくらいでは、北朝鮮の動きは止まらないだろう。むしろB-1Bの飛来は、同盟国である日韓に「やる気」を見せるポーズの意味合いが強いようにも思えるが、それにしても筆者などは、「またか」というワンパターンさを感じるようになってきた。

ただ、ある識者に言わせると、この「またか」が北朝鮮にとっては怖いのだという。最初は警戒していた対象についても、同じような動きが続けば、人々の注意はゆるみがちになる。米軍はそれを狙い、デモ飛行に見せかけた爆撃機で奇襲を行う選択肢を得ようとしているのではないか、との指摘だ。

米軍が本当に、そのような意図を持っているかどうかはわからないが、北朝鮮としては警戒を強めざるを得ず、心理的圧迫になるのだという。

いまのところ、米国と北朝鮮が武力衝突する兆候こそ見られないものの、すでに前哨戦たる心理戦は激しさを増しているのである。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記