実際、1993年に旧ソ連のフルンゼ軍事大学に留学した同窓生たちが、北朝鮮の独裁体制に疑問をもち、反体制の動きを見せたが、「血の粛清」に遭った事件が起きている。
こうした事例は、グローバル化された今の時代において、北朝鮮当局のプロパガンダによる思想統制に機能不全が生じていることを象徴している。金正恩氏は核・ミサイルで威信を高めることに躍起になっているが、実のところ韓流や日本のアニメが全体主義体制を骨抜きにしている内実があるとも言える。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。