さらに相手のトランプ氏は、SNSを通じた常識破りな言動で支持(不支持も)を拡大させてきた人物である。金正恩氏にしてみれば口撃の相手にとって不足なしと言ったところだろうか。
トランプ氏は、先のツイートにつづけて「韓国と日本はもはや我慢ならないだろう」としながら、中国に対して、「おそらく北朝鮮にもっと強い行動に出て、このくだらないことをきっぱりと終わらせるだろう」とけん制した。まるで他人事のようでもあるが、トランプ氏も金正恩氏の挑発に対して内心穏やかではないだろう。
止まることを知らない金正恩氏の暴走に対してトランプ氏の堪忍袋の緒が切れる時は来るのだろうか。米朝対立がより深刻なゾーンに突入しつつある中、金正恩氏とトランプ氏の口撃合戦がより激化すれば、それがきっかけとなって不測の事態に発展することもあり得なくはないのだ。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。