これが、たとえば正恩氏と正男氏の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長の存命時であれば、何となく想像をめぐらすことはできた。正恩氏が独裁権力を掌握する以前、経験値では北朝鮮の「実力ナンバー1」とも言うことのできた張氏は、正男氏と親密だったとされていたからだ。
しかし、張氏が正恩氏によって処刑されてからは、正男氏は権力から完全に遠ざけられていたとされる。むしろ、弟に殺されないため慎重な振る舞いが求められていたわけで、政治的な「利用価値」は限定的だったと思われる。
もちろん、北朝鮮の権力中枢には、まだまだ外部からはうかがい知れない部分がある。