まず、労働力が欲しい中国の商売人は北朝鮮側の脱北ブローカーに必要な労働者の人数を伝え、募集をかけてもらう。そして、人が集まれば川を渡る。通常は、国境警備隊員にワイロを掴ませて便宜を図ってもらうが、取り締まりが強化されているため、カネを受け取って脱北を幇助しようとする隊員は減っている。
そこで、募集で集まった労働者たちは、集団で一斉に川を渡る手法を使う。中国側の雇用主は、国境付近に待機させておいた車に彼らを乗せて、闇夜に紛れて安全な場所まで移動し、中国の長白県を出て白山に向かう。この地方では、車と動物との衝突事故を防ぐために、道路際に鉄条網を設置、補修する工事を行うと同時に、冬季に破損した道路の補修工事も行うため、毎年春になると労働力が必要となるからだ。