この事件は、第6軍団の政治委員(少将)が1995年、クーデターにより金正日政権を打倒しようとしたが発覚したというものだ。少なくとも幹部40数人が処刑され、家族はすべて収容所送りになり、6親等内の親戚まで処罰の対象とされた。
ほかにも、旧ソ連留学組の数百人が粛清された事件も起きている。
(参考記事:同窓会を襲った「血の粛清」…北朝鮮の「フルンゼ軍事大学留学組」事件)北朝鮮の軍人にとっては米軍の航空母艦などよりも、正恩氏の方がよほど恐ろしいのかもしれない。それにもかかわらず「幼稚園児」呼ばわりする風潮が生まれているのならば、有事に際し、北朝鮮の軍が正恩氏に本当に忠誠を尽くすかどうか、大いに疑問と言える。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。