安保理では、中国とロシアが「人権問題は安保理の性格にそぐわない」と主張し、北朝鮮における人権侵害が俎上に乗せられるのを阻止してきた。ヘイリー大使の言葉は、これらの国に向けられた部分も大きいだろうが、それもまた重要なことだ。なぜなら中国政府が北朝鮮に協力し、脱北者を強制送還していることが、北の人権状況を悪化させる要因のひとつになっているからだ。
(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち)いずれにせよ正恩氏は今頃、ヘイリー大使の言動が気になりだしているのではないか。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。