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彼女たちが死刑になろうが無罪になろうが、北朝鮮にとっては都合の良い展開であると言えるかもしれない。北朝鮮がほかの容疑者たちを、マレーシアに引き渡す可能性はほぼゼロだ。となれば、女性らが死刑になれば、ことの経緯を語ることのできる生き証人はいなくなり、事件は風化を待つこととなる。反対に殺人罪が不成立となれば、事件はなかったも同然の扱いになりかねない。

いずれの場合においても、マレーシア当局が遺体の身元を確認できなければ、被害者は旅券に記された「キム・チョル」として処理される。

いま、日本にいる私たちの目に映っている「金正男氏殺害事件」が、「キム・チョルさんが誰かに殺されたかもしれない出来事」というぐらいの、わけのわからない記録でしか残らない可能性があるということだ。