筆者の下には、中国当局が近年、自国内で行われている脱北者の人身売買を厳しく取り締まっているとの情報が、断片的に伝えられている。ただ、それは脱北者の人権を保護するためではない。むしろその逆であるとさえ言える。
北朝鮮の人権侵害を巡り、中国当局が多大な責任を負っているということは、各方面でたびたび指摘されている。たとえば、米紙ワシントン・ポストは昨年、中国のブローカーの証言に基づき、「中国で身を潜めている脱北女性の5人に1人がオンライン上の性風俗業に関わっている」と報じた。
(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち)脱北女性たちがそのような仕事に吸収されてしまうのは、中国当局に捕まることを恐れているからだ。食堂などで働いていれば、当局から尋問を受けるリスクが高くならざるを得ない。