「市場で商売できなくなるよ。そうなれば不利益があるだろうね」
北朝鮮の市場では、基本的に女性しか商売できない。薄給しかもらえない企業所(会社)に務める男性より女性の方が圧倒的に経済力も生活力もある。彼女たちは市場の原動力であり、かつ家庭の大黒柱だ。市場で商売できないことは生命線が絶たれることに等しく、当局の圧力は脅迫といっても過言ではない。さらに、大会に参加するとなればその間の商売はできず大打撃となる。
旅費や滞在費を工面して大会に参加したとしても、もらえるのは金正恩氏との記念写真。男性と違い、社会的名誉よりも現実生活を優先する女性たちにとっては、飯の種にもならない。金正恩氏からすれば「一緒に写真を撮ってやるから、大会の参加費ぐらいは出しなさい」ぐらいの軽い気持ちかもしれないが、糊口を凌ぐ女性たちからすれば「バカにするな!」といったところだろう。