ベノス氏が北朝鮮の公務員と呼ばれる所以は、彼が北朝鮮の対外文化連絡委員会の特使と、スペインの朝鮮親善協会の委員長を務めているからのようだ。
ベノス氏は、朝鮮一(チョ・ソニル)という朝鮮名を持ち、1年の半分を平壌で過ごし、海外からの訪問団や投資の誘致を行っていた。海外メディアの取材にも積極的に応じ、北朝鮮の体制を擁護する発言を続けてきた。
(参考記事:【動画】北朝鮮シンパのスペイン人男性逮捕)ところが、ベノス氏は、武器の違法取引に関わった容疑でスペイン当局に逮捕された。スペインの治安警備隊は、武器密売組織に対する全国的な摘発作戦を行い、ベノス氏の自宅から銃火器を発見し、本人と42歳のルームメイト、ムルシア在住の武器密売組織の中心人物など、12人が逮捕された。武器の違法取引が、北朝鮮と関連したものであるかは明らかになっていない。
貴族の末裔
さらに驚かされるのは、ベノス氏が貴族の末裔らしきこと。エル・ムンド紙によると、ベノス氏は、自らの家柄に反発し、極左思想に傾倒。いつしか、北朝鮮へのシンパシーへとつながっていったという。
日朝両国は、国交こそないものの、長きにわたって政治・文化的に交流していることから、チョソン・クラスタのような好事家が生まれてくる土壌はある。ただし、北朝鮮とスペインは2001年に国交を結んで、まだ15年しか経っていない。それにもかかわらず、ベノス氏ほど北朝鮮の思想に染まり、金正恩体制に忠誠心を持つ人物は極めて珍しいだろう。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面ベノス氏が、金正恩体制に骨の髄まで忠誠心を持つ一方、北朝鮮体制に見切りをつけて逃げ出す国民もいる。