小国の独裁権力は、何もせずに維持できるものではないのだ。
父の死を受け、帝王学すらろくに学ばず権力を受け継いだ正恩氏が、そのことに不安を覚えなかったはずはない。カリスマに溢れていた祖父ですら、ライバルからの挑戦を全力で叩き潰さねばならなかったのだ。
そこで金正恩氏は、祖父から続く悪しき粛清政治で体制固めをはかる。まず、実質的なナンバー2である叔父・張成沢(チャン・ソンテク)氏を反逆罪で処刑。金正恩体制は張氏の後見の下、集団指導体制になると分析していた北朝鮮専門家たち(そしておそらくは国内の有力幹部たちも)は衝撃を受けた。
これを機に、張氏と親密と見られていた中国共産党指導部と、金正恩氏の関係は険悪化していく。それどころか金正恩氏は、核開発とからんで中国を罠にかけようとさえする。
続いて、軍首脳の玄永哲人民武力部長(国防大臣)らが正恩氏の刃にかかる。
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