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ヤクザやアウトローと会う機会が少なかった私にとっては恐る恐るの面会だったが、彼の第一印象をひと言で表すと「紳士」。

現在、韓国社会には3万人近い脱北者がいる。彼らは、今でこそ様々な政治運動に参加して、母国である北朝鮮へ政治的メッセージを送っているが、2000年当時は脱北者の数もそれほど多くはなかった。また、韓国社会からは「北朝鮮から来た厄介者」のように扱われ、肩身の狭い思いをしていた。プライドを傷つけられて自信を失い、社会と他社を警戒する屈折した心理を持つ人がほとんどだった。

しかし、白氏は明らかに他の脱北者達と違った。堂々とした態度で、かつ紳士的で必要以上に自分を誇示しない。酒を飲んでも決して乱れない。自慢話や苦労話を披露するわけでもなく、淡々と会話を続ける。

「義理」の2文字

ただ、そこには修羅場をくぐってきた人物独特のオーラ、そして己の腕一本で生きてきたという自信が満ちあふれていた。そんな白氏の生き様と武勇伝にちょっとだけ耳を傾けてみよう。

「ヤクザ=刺青」

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そんな先入観を持つ私が「刺青」について尋ねると、彼はこう語った。