北朝鮮は、90年代中頃から「苦難の行軍」といわれた大飢饉が発生し多数の餓死者を出した。それから20年近く経ち、経済は相対的に上向きになっているが、まだまだ厳しい。つい先日の北朝鮮レストラン従業員の集団脱北が物語るように、国外の情報を知る市民たちのなかには、北朝鮮に絶望を感じる庶民も少なくない。
(参考記事:北朝鮮レストラン従業員ら13人が集団脱北)それにもかかわらず、金正恩氏は体制維持のために、核やミサイルに大金をつぎ込み、その資金を北朝鮮国民からお金を搾り取ろうとする。殺人などの凶悪犯罪を擁護するつもりは毛頭ないが、北朝鮮で起きる犯罪をつぶさにみていくと、やはり現体制の矛盾に遠因があると言わざるをえないのだ。
(参考記事:徐々にわかってきた金正恩氏の「ヤバさ」の本質)(参考記事:金正恩氏が「暴走」をやめられない本当の理由)
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。