李永吉氏がどのようにして処刑されたのかは不明だが、玄永哲氏の時と同じく、公開処刑の可能性が高い。一昨年の10月に行われた公開処刑については、その場面が衛星写真で確認されている。
(参考記事:北朝鮮の公開処刑、衛星写真で確認)北朝鮮国内からは、金正恩氏の「恐怖政治」がひどくなっているという声が伝わってくる。とりわけ、労働党や朝鮮人民軍の幹部になればなるほど、監視・統制が強化されるという。高級幹部ほど、がんじがらめにされているのだ。
(参考記事:2016年も「金正恩式恐怖政治」は続く…幹部達の監視体制が強化)しかし、李永吉氏は金正恩氏の信任が厚い人物として知られていた。それにもかかわらず、処刑したとするならば、正恩氏は一体誰を信頼するのだろうか。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。