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最近、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の市場にはガスが登場。人気商品となっている。小さなガスボンベではなく、大き目の「プロパンガス」のボンベだ。

恵山出身の脱北者によると、大都市の平壌や咸興(ハムン)でも「ガスは、金持ちの家でしか使えなかった」と語る。恵山市の住民もガスの存在は知っていたが、見たことすらなかった。しかし、最近ではプロパンガスのボンベが見られるようになった。これについて住民らは「生活レベルが上がった」と得意げな様子だという。

しかし、ガスボンベは誰でも気軽に買えるようなものではない。使えるのは、幹部、トンジュ(金主、新興富裕層)、北朝鮮在住の華僑、韓国に脱北した親戚や家族を持ち、仕送りが得られる人に限られる。

現在、20キロ入りのプロパンガスのボンベは1本50万北朝鮮ウォン(約7500円)で売られている。コメ90キロ分に相当する額だ。ボンベ1本で20日間使えるというが、50万北朝鮮ウォンは一般庶民のワンシーズンの薪代に相当する額だ。

日本でも韓国でもガスは「あって当たり前のもの」にすぎないが、北朝鮮では誰もが羨む「富の象徴」なのだ。