いずれの女性たちにも選択の余地はない。権力層の私生活に関わる立場だけに、生まれ育った土地を離れ、実家との連絡もたち、身も心も国家のために捧げなければならない。もちろん、その見返りとして一般庶民とは違った待遇を与えられるが、やはり北朝鮮特有の人権侵害と言うべきだろう。
女性に対する人権侵害の根底には、北朝鮮体制特有の女性蔑視観がある。さらに、喜び組という特殊なケースはさておき、一般社会における女性の地位も決して高くはない。
例えば、一般家庭の夫婦生活では、こんなケースが多い。男性たちは、職場に出勤する義務があるが、給料はコメ1キロを買えるか買えないかぐらいの少額だ。とても生計を維持できないため、女性たちは市場で商いに励み、一家の大黒柱として薄給の夫と家族を養う。それにもかかわらず、夫の方は、大して働きもせず、家ではタバコをふかしながらゴロゴロする。酒を飲んではくだをまく――そんなケースが少なくないのだ。
こうした理不尽な境遇に、ついに女性たちの堪忍袋の緒が切れたようだ。役に立たない亭主関白の男性に三行半を突きつける、つまり離婚を言い渡すケースが増えているのだ。