また、正恩氏の新たな側近である元空軍司令官の李炳哲(リ・ビョンチョル)氏は、12月8日に労働党副部長となり、そのわずか1カ月後には労働党第1副部長に昇進している。朝鮮労働党内の地位と権限は、副部長よりも第1副部長が大きく上回る。
ところで、そんな北朝鮮空軍の「生みの親」とも言える軍人が、名古屋航空兵学校を卒業した旧日本軍パイロットであったことはあまり知られていない。
金日成は軍創設当時、陸軍と海軍の要職には抗日パルチザン派を登用したが、さすがに特殊な技量が求められる空軍においては、日本軍で高度な経験を積んだ人材を無視できなかったのだ。
北朝鮮という国家は極めてプライドが高く、何から何まで自前で築き上げてきたと主張する。しかし歴史をひもとけば、彼らが仇敵と位置づける「大日本帝国軍」が、北朝鮮空軍に多大なる影響を及ぼしたというのは、なんとも皮肉なエピソードだ。