こうした抗争はトンジュのグループ同士でも繰り広げられており、北朝鮮の人々はそれを「基盤(縄張り)戦争」と呼んでいる。
一方、RFAの別の情報源によると「6月16日には咸鏡北道の遠洋漁船事業所に所属する魚群探査隊の隊長が、何者かに惨殺される事件が起きた。国家安全保衛部や保衛司令部まで捜査に動員されているが、犯人はまだ捕まっていない」という。
ただ、咸鏡北道の司法当局は実際のところ、羅先(ラソン)市の大興(デフン)貿易会社の社長が「殺し屋」を雇い、魚群探査隊長を殺害させたと見ているとのこと。隊長が魚群データを大興貿易会社に提供しなかったことが、犯行の動機であると考えられているようだ。
それでも司法当局は、大興貿易会社の社長に手を出せずにいる。社長が党や軍の高位幹部と結びつき、その権勢によって守られているためだ。
咸鏡北道ではこれ以外にも「殺し屋」によるものと思しき殺人事件が相次いでいるという。