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北朝鮮で日本人拉致問題に関する特別調査委員会委員長を務める徐大河(ソ・デハ)国家安全保衛部副部長が、朝鮮人民軍の少将から中将に昇進した(関連記事)

日本の情報当局者によれば、「年齢などから見れば順当な人事。昇進の意味合いはこれから見極めていくべきだが、徐氏の日朝関係での存在感は増して行くかもしれない」と話す。

だが、今は出世街道に乗っているように見えても、またいかに体制に忠誠を誓っていても、「一寸先は闇」なのが北朝鮮という国だ。その象徴とも言えるのが、徐氏と同じく国家安全保衛部の副部長の肩書を持っていた、ある人物の末路である。

韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が最近出した回顧録。その韓国語版の356ページには次のような一節がある。

「2011年初め、アメリカと中国から驚くべき話を聞かされた。我々と接触した北朝鮮の高官が公開処刑されたというものだった」

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この処刑された人物こそ、当時の国家安全保衛部副部長だった柳敬(リュ・ギョン)氏である。最近になって、柳氏本人のみならず一家全員が銃殺されたこともわかった。

かつて、小泉訪朝を巡り日本側と水面下で接触していた柳氏は体制への忠誠心が厚く、金正日総書記から絶大な信頼を得ていたとされる。しかし、ある出来事を境にその運命は暗転した。

2010年12月5日、南北首脳会談実現のために特使としてソウルを訪問した柳氏は、李大統領から面会を断られ、何の成果も出せないまま北朝鮮に帰国した。このとき、柳氏はソウル滞在を1日延長したが、帰国後に提出した報告書でその際の行き先をきちんと記載しなかったことが問題視されたようだ。

粛清劇の「黒幕」も姿消す

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2011年2月初め、北朝鮮当局は柳氏と在日朝鮮人の夫人を強制的に離婚させた上で、自宅で残りの家族全員を銃殺したとされている。前出の情報当局者が、次のように話す。

「糸を引いていたのは正日氏の義弟の張成沢氏だったはずだ。体制内での権力基盤を盤石にするため、党内のライバルを暗殺などの手口で次々に消していた張氏は、次に保衛部に刃を向けた。保衛部のパワーが、正恩氏の権力固めの過程で肥大しすぎたと見ていたのだろう」