さらに、2001年4月に出版された『金日成全集』第37巻には、ベトナムに派兵された空軍部隊の軍人に金日成が語った談話が掲載された。2001年6月出版の『金日成全集』第38巻にも、空軍部隊のベトナム戦争における功績に対する祝賀文が掲載されている。

2001年7月6日には遂に、朝鮮中央放送がベトナム戦争に参戦した事実を報道した。また同月6日には、最高人民会議常任委員会委員長である金永南(キム・ヨンナム)がベトナムで朝鮮人民軍将兵の墓地を訪問。これは労働新聞でも報道された。

こうした情報開示の流れを受けて、北朝鮮の将兵がベトナムの戦場でかなりの働きをしたことがわかってきた。中でも空軍のパイロットたちは、生まれ故郷とは似ても似つかぬ熱帯の空でミグ戦闘機を駆り、多数の米軍機を撃墜する戦果を挙げていた。

そして、そのことは現在に至るも、北朝鮮の外交戦略に少なからず影響を及ぼしているのである。(つづく

(宮本 悟 聖学院大学教授)

【連載:朝鮮人民軍 海外戦記】
ベトナム編(2) ホー・チ・ミンから届いた「派兵要請」の親書

朝鮮人民軍 海外戦記

ベトナム編(1) ホワイトハウスに乗り込んだ北朝鮮「ベトナム戦争」の英雄
ベトナム編(2) ホー・チ・ミンから届いた「派兵要請」の親書
ベトナム編(3) 米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」
ベトナム編(4) 北朝鮮版「ランボー」がたどった数奇な運命
中東編(1) アラブ諸国に加勢しイスラエルと戦っていた北朝鮮空軍
中東編(2) ベトナムに続き第4次中東戦争に参戦した北朝鮮の狙いとは!?
中東編(3) 金日成を対イスラエル参戦に動かした北朝鮮「元学校教師」の履歴書
中東編(4) エジプト軍の英雄を驚嘆させた北朝鮮の「地下軍事要塞」
中東編(5) 北朝鮮空軍「エジプト極秘派兵」はイスラエルに見破られていた
中東編(6) 第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘
中東編(7) 北朝鮮の弾道ミサイル開発は空軍のエジプト派遣から始まった
中東編(8) 暗殺、亡命、失脚…北朝鮮空軍「中東派兵」立役者たちの運命

宮本 悟(みやもと・さとる)

聖学院大学基礎総合教育部特任教授。1970年生まれ。1992年、同志社大学法学部卒。1999年、ソウル大学政治学科修士課程修了(政治学修士号)。2005年、神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了(博士号/政治学)。2006年から日本国際問題研究所研究員、2009年から聖学院大学総合研究所准教授などを経て、2014年から現職。

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