プーチン別荘上空の決戦、勝者は誰か…ウクライナが手にする「最新兵器3350発」の威力

左右の翼下にラスティダガーを搭載したF-16戦闘機(米空軍提供)
左右の翼下にラスティダガーを搭載したF-16戦闘機(米空軍提供)

低コスト長距離兵器AGM-188A「ラスティダガー」の量産が開始されたと、開発を手がける米企業が20日、明らかにした。ウクライナへの供給が見込まれる新世代兵器の本格生産入りは、ロシア本土の安全保障環境に新たな変化をもたらす可能性がある。

米国が承認した対外有償軍事援助(FMS)では、ウクライナは長距離攻撃兵器「ERAM」を最大3350発まで調達可能とされる。この中核を担うのがラスティダガーで、1発数十万ドルとされる低価格と量産性が特徴だ。従来の巡航ミサイルに比べコストを大幅に抑えつつ、数百キロ規模の射程を持つとされ、「数で押す」戦術を可能にする。

もっとも、3350発という数字は単一兵器ではなく、同種の低コスト巡航兵器を含む総数であり、供給も段階的に進む見通しだ。それでも量産開始により、これまで構想段階にとどまっていた「大量精密打撃」が現実味を帯びてきた。

こうした動きと関連して注目されるのが、プーチン大統領が利用するとされるヴァルダイの別荘の存在だ。同施設はモスクワから離れた森林地帯に位置し、これまで「安全圏」の象徴とみられてきた。

(参考記事:プーチンと新体操女王「愛の巣」別荘に強力すぎる”対ドローン防空網”

ロシア側はS-400を軸とする多層防空網を構築し、パンツィリS1など近距離防空や電子戦を組み合わせて重要施設を防護している。ヴァルダイも例外ではなく、国家中枢に準じる厳重な警戒下にあるとみられる。

しかし、ウクライナはラスティダガーをはじめとする低コスト兵器を大量に投入することで、防空システムの処理能力を飽和させる「量の戦術」が現実の選択肢となる。迎撃ミサイルが高価であるのに対し、攻撃側は比較的安価に数を揃えられるため、防御側は迎撃を重ねるほど負担が増す構造だ。

すでにウクライナは長距離ドローンなどでロシア本土の奥深くを攻撃しており、「後方は安全」との前提は揺らいでいる。仮に同種兵器が数百発単位で投入されれば、防空網に局所的な“穴”が生じる可能性は否定できない。そのれがロシアの権力中枢の頭上に生じることの意味は、決して軽くはないだろう。