ロシアとウクライナの戦争をめぐる映像を視聴した北朝鮮住民に対し、当局が厳罰を科している実態が明らかになった。国境地域を中心に大規模な取り締まりが進められており、外部情報に接触しただけで「思想的変節者」とみなされる事例も出ているという。

韓国の独立系メディア「サンドタイムズ」が複数の対北朝鮮消息筋の証言として伝えたところによると、国家保衛省は今年1月以降、咸鏡北道や両江道など中国と接する地域の保衛機関に対し、「内部の不純な思想的汚物を根絶せよ」とする指示を下達。朝鮮労働党第9回大会を契機に、思想統制の一層の強化に踏み切った。

軍保衛局と合同で行われた検閲では、住民や一部軍人の間で、国外から流入した映像やいわゆる風刺的な「漫談集」、さらにはロシア・ウクライナ戦争の実際の戦闘映像が密かに拡散していたことが確認された。これらの映像には、北朝鮮が公式には伝えていない戦況や、ロシアの軍事行動、さらには派兵を決定した北朝鮮指導部を批判する内容も含まれていたとされる。

北朝鮮当局はこれを深刻に受け止めている。戦争を「正義の闘争」と位置づけてきた従来の宣伝と正面から矛盾するためで、内部では「予想以上の広がりに衝撃を受けている」(消息筋)との声も出ている。

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特に問題視されているのは、映像視聴後にロシアや自国の政策に批判的な認識を示したケースだ。当局はこうした行為を「反党的思想」と規定し、「制度防衛の刃で無慈悲に処罰せよ」との指示を現場に下したという。摘発された住民の中には長期拘束や思想矯正施設への送致が検討されている例もあるとされ、処罰は極めて厳しい。

取り締まりの手法も強硬さを増している。保衛機関の要員には事前許可なしでの家宅捜索権限が付与され、昼夜を問わず住民の携帯機器や所持品の検査が実施されているという。証拠とみなされた記憶媒体は即時没収され、関係者の連行も相次いでいる。

さらに、当局は未摘発の住民に対して自首を強要しており、「申告しなければ家族も処罰対象となる」との警告が繰り返し伝達されている。こうした連座的な圧力により、地域社会では相互監視が強まり、住民の間に深刻な不信と恐怖が広がっているという。