中東情勢の緊迫が続く中、イランが運用を試みていた「ドローン空母」やイラン版「イージス艦」と呼ばれていた艦艇が米軍などによる攻撃で撃沈されたとされる事例は、非対称戦力としての海上戦力の限界を改めて浮き彫りにした。同様に海軍力増強を掲げる北朝鮮の構想にも、現実的な制約が影を落としている。

朝鮮中央通信によれば、金正恩総書記は今月11日、新造駆逐艦からの巡航ミサイル試射を視察した際、「5000トン級と8000トン級の駆逐艦には艦上自動砲の代わりに超音速兵器システムを追加配備する」と述べた。

さらに、5000トン級駆逐艦については、毎年2隻ずつ5年間にわたり建造するよう指示したとされる。計画が実現すれば、十数隻から20隻規模の本格的な水上艦隊が整備され、北朝鮮海軍の能力は飛躍的に向上する可能性がある。

もっとも、この構想には大きな疑問点がある。燃料をどう確保するかだ。

北朝鮮は慢性的なエネルギー不足に直面しており、ロシアとの関係強化にもかかわらず、経済や供給事情に劇的な改善は見られていない。大型艦を継続的に運用するための燃料や整備能力を維持できるかは不透明だ。

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この点で示唆的なのがイランの事例だ。産油国であるイランですら、本格的な大型艦艇の保有には踏み込まず、商船を改造した低コストの「ドローン空母」を運用してきたとされる。背景には、制空権を握る米軍やイスラエル軍に対し、大型艦が優先的な攻撃対象となるリスクへの認識があったのではないだろうか。

北朝鮮の場合も、港湾インフラや補給体制の制約に加え、衛星監視や精密打撃能力を有する米韓軍の優勢は明らかだ。たとえ艦艇の建造が進んだとしても、実戦での生存性や持続運用能力には厳しい見方が出ている。