北朝鮮の首都・平壌で、金正恩総書記が威信をかけて建設を進める「和盛(ファソン)地区」の新住宅団地で、生活に不可欠な社会基盤施設(インフラ)が不足し、入居住民が不便な生活を強いられている実態が明らかになった。米政府系メディアのラジオ・フリー・アジア(RFA)が16日までに、北朝鮮内部の住民証言として伝えた。

平壌では今年2月の故金正日総書記の生誕記念日(2月16日)に合わせ、和盛地区の第4段階住宅建設の竣工式と第5段階工事の着工式が相次いで行われた。高層マンションが林立する新興住宅地として宣伝されているが、実際には生活インフラが整っていないという。

北部・両江道の住民はRFAに対し、「和盛地区には高くてきらびやかな建物は多いが、生活に必要な便利施設がほとんどない」と指摘。10年来の友人が同地区に入居しているといい、「テレビや時計、靴などを修理する修理所がほとんどなく、テレビが故障した際には以前住んでいた地区まで持って行って直すしかなかった」と証言した。

交通事情も厳しい。自転車で移動する住民が多いものの、修理店がなく、路上修理も当局が「街の景観を損なう」として禁止しているという。

さらに、日常生活に欠かせない市場も整備されておらず、食材や日用品を購入するには大城区域や龍城区域の市場まで出向かなければならない。特に女性住民の不満が強いとされる。

別の住民は昨年末、平壌出張の際に和盛地区の親戚宅に滞在した経験を語り、「見た目は立派な新しい街だったが、うらやましいとは思えなかった」と明かした。道路を挟んで高層アパートが並ぶ一方、少し奥に入れば農地や空き地が広がり、街全体が完成するにはまだ相当な時間がかかる状況だという。