北朝鮮が海軍艦艇によるミサイル攻撃能力の強化を進める中、偵察機や無人機と連携した「データリンク型」の作戦運用を模索している可能性が浮上している。国営の朝鮮中央通信は11日、駆逐艦「崔賢」号からの戦略巡航ミサイル試射を報じる中で、「打撃目標の諸元が電送された」と説明した。
この表現は、艦艇自身のセンサーではなく、外部の偵察手段から得た目標情報を、通信網を通じて共有する運用を示唆する可能性がある。西側諸国では、センサーと攻撃手段をネットワークで結ぶ「データリンク」により、遠距離からの精密攻撃能力を高める戦術が一般的だ。こうした見方を後押ししているのが、北朝鮮が近年相次いで公開している新たな航空偵察戦力だ。2025年3月には、金正恩総書記が無人機や電子戦装備を視察する中で、北朝鮮初とみられる早期警戒管制機を公開した。写真には大型輸送機を改造した機体にレーダードームが搭載されており、旧ソ連製輸送機「Il-76」を改造した早期警戒機とみられている。
早期警戒機は航空機や艦艇、ミサイルなどを遠距離から探知する「空のレーダー基地」とも呼ばれ、空中からの監視により地上レーダーの死角を補う役割を持つ。北朝鮮にとっては、山岳地形の影響で制約を受ける地上レーダー網を補完する能力とみられている。
さらに北朝鮮は、米軍の高高度無人偵察機に似た大型無人機も公開している。代表例とされるのが偵察用無人機「セッビョル4型」で、外形が米軍のRQ‑4 グローバルホークに酷似していることから注目を集めた。高高度で長時間飛行しながら地上や海上の目標を監視する用途が想定されている。
(参考記事:長距離空対地ミサイル「北朝鮮版タウルス」初公開 空軍80周年で現代化誇示)
これらの装備が実戦レベルで機能すれば、北朝鮮軍は「センサーと攻撃手段を分離した作戦」が可能になる。すなわち、早期警戒機や無人偵察機が探知した目標情報を通信網で共有し、地上ミサイル部隊や艦艇が遠距離から攻撃するという構図だ。
今回の巡航ミサイル試射でも、艦艇に電送された目標情報に基づいて発射されたとされる。専門家の中には「北朝鮮が単にミサイルの数を増やすだけでなく、偵察・指揮通信・攻撃を結びつけるネットワーク化戦力を志向している可能性がある」と見る向きもある。
もっとも、米軍のような高度な戦術データリンクを北朝鮮が実際に運用できるかは不透明だ。通信衛星や安全な通信網など、実戦運用には多くの技術的課題が残る。それでも、早期警戒機や大型無人機の公開と艦艇ミサイル試験の内容を合わせてみると、北朝鮮が戦場情報を共有するネットワーク型の戦力構築を模索している可能性は高いとみられている。
