米国とイスラエルが2月28日から開始した対イラン軍事攻撃では、ステルス戦闘機や巡航ミサイルが注目を集めているが、作戦を陰で支えた“もう一つの主役”として、米海軍の電子戦機 EA-18Gグラウラーが搭載した最新装備を挙げることができる。
グラウラーは敵のレーダーや通信を妨害する電子戦機で、今回の作戦では最新の電子攻撃装置 AN/ALQ-249(V) Next Generation Jammer Mid-Band(NGJ-MB)を搭載して出撃したとみられている。米軍は作戦の詳細を公表していないが、防空網の沈黙の背景には同装置による大規模な電子戦があったと見て間違いない。NGJ-MBは、長年グラウラーの主力装備だった AN/ALQ-99 Tactical Jamming System の後継として開発された次世代電子戦システムだ。ALQ-99は1970年代に開発された装置で、改良を重ねながら運用されてきたものの、アナログ技術を基盤とするため近年は性能面の限界が指摘されていた。
これに対しNGJ-MBはデジタル制御のAESA(アクティブ電子走査アレイ)アンテナを採用し、電波の指向を瞬時に変えながら複数のレーダーを同時に妨害できる。出力も大幅に強化され、従来装置よりはるかに強力な電子攻撃が可能とされる。さらにソフトウェア更新によって新しいレーダー波形にも迅速に対応できる点が特徴で、軍事専門家の間では「電子戦能力を世代レベルで引き上げた装置」と評価されている。
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従来のALQ-99では、ジャミング能力や電力供給の制約から同時に対処できるレーダー数が限られていたほか、機体レーダーとの干渉といった問題も指摘されていた。NGJ-MBはこうした課題を大きく改善し、電子戦機そのものを“空中の電波兵器”へと進化させたといわれる。
今回の対イラン攻撃では、米軍機とイスラエル軍機が広範囲にわたり空爆を実施したが、注目されたのはステルス機だけではなかった。従来なら敵防空網の脅威にさらされやすい非ステルス機も多数参加した。グラウラーによる電子戦が防空レーダーを盲目化したことで、非ステルス機の安全な作戦行動が可能になったためだ。
