米軍が先に実施した対イラン攻撃で、陸軍の次世代長距離精密打撃ミサイル「PrSM(Precision Strike Missile)」を初めて実戦使用したと、米軍事専門メディアなどが報じた。従来運用されてきた「ATACMS」に代わる新型兵器の実戦投入は、米陸軍の打撃能力が新段階に入ったことを示すものとして注目されている。

PrSMは、老朽化が進むATACMSの後継として開発された。ATACMSの射程が約300キロ程度とされるのに対し、PrSMは500キロを超えると公表されており、より後方から敵中枢を攻撃できるのが特徴だ。発射機はHIMARSやMLRSを共用できるが、ATACMSが1ポッドにつき1発搭載だったのに対し、PrSMは2発搭載が可能とされ、同時打撃能力が倍増する。

今回の攻撃では、イラン側の防空網や指揮統制施設が標的になったとみられる。PrSMは高速で飛翔し、終末段階での機動性も向上しているとされ、迎撃はより困難になる可能性がある。イランが保有するS-300系防空システムなどへの対抗力を実戦で検証する意味合いもあったとの見方が出ている。(参考記事:イラン「ドローン空母」撃沈 米軍が作戦初動で攻撃

さらにPrSMは将来的に移動目標や海上目標への攻撃、データリンクによる目標更新などを視野に入れた設計とされる。今回の実戦投入が事実であれば、単なる新兵器の試用にとどまらず、米陸軍が進める「長距離精密火力」構想の本格運用を内外に示すシグナルとも受け止められる。

米国防総省は詳細な作戦内容を明らかにしていないが、最新鋭兵器の投入はイランのみならず、中国やロシアを含む潜在的競争相手に対する抑止メッセージの側面も強い。ATACMSからPrSMへの転換は、戦域打撃の様相を大きく変える可能性がある。