北朝鮮は、居住地の移動や転居が極端に制限された社会である。農村出身者は農村に、炭鉱町の住民は炭鉱に縛り付けられるのが原則だ。ところが、現実には農村や炭鉱で慢性的な人手不足が生じている。若者を半ば強制的に送り込んでも定着せず、人口流出が止まらないからだ。

これは単なる経済問題ではない。

国家の統制力そのものが緩み、住民が「逃げる」ことを選び始めている証左である。移動の自由がないはずの国で人口流出が起きているという事実は、体制への信頼崩壊と統治能力の低下を示唆する。こうした状況での世襲継承は、体制の正当性をさらに弱体化させかねない。

「負の遺産」拡大させる父に…

そして第三に、いずれ顕在化しかねない父と娘の葛藤である。