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北朝鮮から脱北して韓国に入国した脱北者の数は、今年3月の時点で累計3万4121人に達した。その多くが中国やロシアから第三国を経由したもので、北朝鮮から直接韓国にやって来たケースは非常に少ない。中でも陸路での脱北は、過去数十年で20件にも満たない。

朝鮮半島を分断する軍事境界線は、南北双方で合わせて4キロの非武装地帯に取り囲まれている。そもそも非武装地帯の入口にたどり着くことが困難である上に、朝鮮戦争のときに埋設された地雷が大量に残っており、周辺で勤務する兵士と言えどもその位置をすべて把握しきれていないと言われている。そこを通り抜けるのはあまりにもリスクが高すぎるのだ。

非武装地帯の内外は、世界で最も重武装された地域と言われるが、北朝鮮はそこをさらにガチガチに固めようとしている。だが、工事にあたる兵士からは不満の声が上がっている。江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

朝鮮人民軍(北朝鮮軍)当局は、軍事境界線付近に駐屯する最前線の部隊に対して「軍事境界線全域を要塞化せよ」との命令を下した。これは付近に防護壁を建設するもので、脱北防止が目的と見られる。発生可能性が極めて低い、軍事境界線を通じた脱北を防ぐために、大量の人員を投入して壁を建設しようというのだ。

工事はすでに始まっているが、兵士も上官もやる気は極めて低い。

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北朝鮮における土木工事は多くの場合、兵士が労働者として動員される。しかし、適切な安全装備が配布されない上に、無理のあるスケジュールで工事が進められる「速度戦」のせいで事故が絶えない。

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また、地雷埋設作業も行うことになっているが、これによる事故も多発している。

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江原道の淮陽(フェヤン)郡に駐屯する部隊の兵士たちが、軍事境界線付近に地雷を埋設する作業をしていたところ、誤操作で爆発し、手足や眼球を失う者が続出した。しかし、部隊は「最前線の安全を強化し、民族反逆者の逃亡を防ぐために今回の措置は当然必要で重要だ」との主張を繰り返すばかりだったという。

問題はそれだけではない。工事に必要な工具や資材が足りないのだ。

「建設作業に必要な工具や資材が適切に保障されておらず、兵士たちは民家を奪って調達している」(情報筋)

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民家を襲って物資を調達していた旧日本軍とやっていることは変わらない。周辺の民間人は、兵士の襲撃を受け、もしかしたら財産だけでなく命まで奪われるのではないかと不安に震えている。

さらには食糧配給すらもまともに行われていない。問題解決のためには、部隊が独自に資金や食糧を調達しなければならない。そんな状況に兵士はもちろん、上層部の士気もダダ下がりで、建設が進んでいないという。