欲望を抑えられず…北朝鮮の男女4人「禁断の行為」で公開処刑

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北朝鮮で、このところ小康状態にあった韓流コンテンツの取締りが、再び厳しくなっている。

北朝鮮当局が規制強化に乗り出さざるを得なくなった理由のひとつは、現地で「儲かる商売」が見当たらないことにあると思われる。北朝鮮当局はコロナ禍以降、密輸の摘発を強化している。だが、市場での商いで生計を立てる庶民の多くは、何らかの形で密輸に依存して生きていたのだ。

それができないとなれば、いっそう非合法な商売に手を出さざるを得なくなる。そうでなくとも、韓流コンテンツは薬物と並び、以前から「儲かる商品」の代表格だったのだ。

たとえば以前、平壌市内の兄弟山(ヒョンジェサン)区域に50代のチャン氏と40代の妻の夫婦が暮らしていた。「偽タバコ」の製造販売で財を成したチャン氏夫婦は平屋の自宅を2階建てに改造し、隣家に立ち退き金を払って買い取るなどして、家を増築した。敷地内に設けた工場で、3〜40人の従業員を雇い入れ、偽タバコの製造に当たらせていた。

彼らの豪勢な暮らしは近隣住民の嫉妬の対象となり、2021年のはじめ頃、夫婦の「怪しい商売」が保衛部(秘密警察)に通報された。

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おりしも、反動的思想・文化排撃法の成立を受けて「反社会主義・非社会主義相当連合指揮部」が立ち上げられ、活動を始めた直後のことだった。事件の捜査権は保衛部から、この指揮部に移管された。

指揮部がチャン氏夫婦の自宅の家宅捜索に踏み切ったところ、偽タバコだけでなく、大量の中国製SDカードが発見された。追及を受けた夫婦は、タバコの巻紙を密輸したときに2回ほど、韓流コンテンツなどが記録されたSDカードが入れられていたことがあったと説明。誰が入れたのかはわからないと主張した。

その上で、好奇心で映像を見てみたところ「これまで見たことがないほど面白く、ハマってしまった」という。そして、危ないとは知りつつも、SDカードにコピーして地元の市場で売りに出したところ、非常に反応が良かったため、本格的に韓流ビジネスに手を出したと自供した。

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この事件は、1号報告(金正恩総書記への報告)がなされ、民族反逆者として取り扱えとの指示が下された。通常なら、予審(起訴前の取り調べ)で6カ月はかかるところだが、当局は見せしめにするために、チャン氏夫婦を逮捕後しばらくして、SDカードへのコピーを手伝っていた男性従業員2人と共に公開処刑することにした。

そして、平壌郊外の寺洞(サドン)区域の大園里(テウォンリ)射撃場で今月2日、平壌市全体の人民班長(町内会長)と地域住民が見守る中、男性3人と女性1人の公開銃殺が行われた。

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夫婦が売っていたものが、偽タバコだけだったなら、極刑を下されることはなかっただろう。チャン氏夫婦も韓流コンテンツを扱うことのリスクは承知していたはずだ。しかし、「もっと儲けたい」という欲望を抑えることができず、より危険な商品に手を出してしまったのだ。

このような、人間の本能と結びついた商売の構図がある以上、北朝鮮社会から韓流コンテンツを一掃することは、ほぼ不可能と考えてよいのではないだろうか。