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深夜のソウル郊外に警報が鳴り響き、市民は肝を冷やした。

28日午後11時34分、ソウル郊外の13の市・郡のすべての携帯電話に、警報音と共に以下のようなエリアメールが届いた。

緊急災難メール
危急災害メール
北朝鮮の対韓国伝単(ビラ)と思われる未詳の物体が感知された。野外での活動を控え、見つけた場合には軍部隊に通報せよ。Air raid Preliminary warning 【京畿道】

また、軍事境界線に接している江原道(カンウォンド)の楊口(ヤング)、麟蹄(インジェ)の両郡では、「北の対韓国ビラと思われる異常物体が江原道接敵地域一帯で感知された。国民の皆さんは野外活動を控え、未詳の物体を見つけたら市や郡の軍部隊または警察に通報求む」とのエリアメールが発送された。

人々を驚かせたのは、物体が飛来した事実そのものより “Air raid Preliminary warning”(空襲予備警報、警戒警報)という英語の一文だった。韓国語のわからない外国人はこれを見て肝を冷やし、X(旧Twitter)に「本当にミサイルか爆弾かと思った」「今日は寝ても大丈夫?」などといった投稿が相次いだ。

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また、エリアメールのスクリーンショットと共に、実際に落下したものと思われる物体の写真を投稿する人も現れた。ビニール袋に詰められた土のようなものと、中国・山東省の臨沂市にある臨沂近鶴電池有限公司製の単3電池2本が入っていた。

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韓国軍当局によると、北朝鮮が飛ばしたものと思われる風船100個以上が発見された。韓国の通信社聯合ニュースは、人糞と思われる汚物が袋に入って風船に吊るされていたと報じた。

(参考記事:北朝鮮の宣伝ビラが韓国乗用車を無慈悲に粉砕…ドローンで散布か?

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北朝鮮は2016年1月、大量の宣伝ビラを韓国に向けて飛ばし、その一部が塊のまま落下して、乗用車を破壊する事故も起きている。

北朝鮮国防省のキム・ガンイル次官は25日、「国家の主権と安全・利益を強力な自衛力で守り抜くであろう」と題した談話を発表したと、国営の朝鮮中央通信が報じた。そこには、今回の予告と思われる一文が含まれていた。以下、一部抜粋する。

24日、わが最高軍事指導部は軍隊に上記のようなわが国家の主権に対する敵の挑発的な行動に攻勢的対応を加えろと指摘した。

国境地域での頻繁なビラとごみ散布行為に対してもやはり真っ向から対応するであろう。

数多くの紙くずとごみが近く韓国の国境地域と縦深地域に散布されるであろうし、これを収去するのにどれぐらいの努力がかかるかは直接体験するようになるであろう。

国家の主権と安全・利益が侵害される時、われわれは即時行動するであろう。---

なお、日本語の記事では「ごみ」と訳されているが、朝鮮語の原文では「汚物」となっている。

韓国の脱北者団体は今月、ビラ30万枚やK-POP、トロット(演歌)の動画が保存されたUSBメモリーを、大型の風船20個に吊るして北朝鮮の方向に向けて飛ばしたが、今回の「汚物テロ」は、それに対する報復と考えられる。北朝鮮のキム次官は談話で次のように言及している。

最近、われわれの国境地域でビラと各種の汚らわしい品物を散布する韓国の卑劣な心理謀略策動が甚だしく現れている。

気球を利用した散布行為は、特異な軍事的目的にも利用されかねない危険な挑発である。

(参考記事:韓国の脱北者団体、ビラ30万枚を北朝鮮に向けて飛ばす