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ある日本人旅行者は、北朝鮮の列車内で目撃したワイロのやり取りを次のように証言している。

中国から北朝鮮に入ってすぐの新義州(シニジュ)駅で入国審査と税関検査が行われた。列車に乗り込んできた税関職員は、北朝鮮人乗客の大量の荷物をひっくり返して事細かく検査を行い、ある女性の番になったとき、彼女は税関職員を手招きしてトイレの方に連れて行き、高級時計を手渡した。税関職員は検査するふりをしただけで、何も没収しなかった。

このように、列車内でのワイロのやり取りは頻繁に行われているのが現実だが、客貨車隊、鉄道安全部共に「知らぬ存ぜぬ」で責任逃れに躍起になっているとのことだ。

社会安全省はまた、鉄道を利用した違法な物品の流通が広範囲で行われているとして、「同様の事件を防止するために、今後厳しい内部監督、定期的な監視を行うこと。違法な活動が摘発された場合には、厳重に対処、処罰すること」の承認を求める提議書を中央に提出した。書類は金正恩総書記の手元に届き、大々的な取り締まりキャンペーンが行われることになるかもしれない。

韓流コンテンツのソフトなどは、鉄道より規制のゆるい個人が経営するソビ車(バスやトラック)を使って運ばれることが多かったが、コロナ禍での移動制限の強化、本来禁止されている車両の個人所有の取り締まりなどで、以前と比べて数が減ってしまった。

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そこで列車での運搬が行われているようだが、たとえ厳しい取り締まりを行ったとしても「その場限り」だ。鉄道関係者も鉄道警察も商人も、空気を読んで、取り締まりがゆるくなったと思ったら徐々に元のやり方に戻していき、完全に骨抜きにしてしまう。

韓流を上回る良質で面白い文化コンテンツを北朝鮮国内で生み出すことが唯一の解決方法だが、そもそも韓流のベースにある「個人の自由」は北朝鮮の現体制とは相容れないため、根本的に無理な話であろう。

(参考記事:北朝鮮「韓流との戦い」20年史…形勢不利「若者は従わない」