北朝鮮少女11人を襲った「カリスマ牧師」の鬼畜行為

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「アジアのシンドラー」と呼ばれた男の裏の顔はとんでもないものだった。

ソウル市の南部、冠岳区で脱北者の子どもたちのためのフリースクール「トゥリハナ」を運営していたトゥリハナ宣教会のチョン・ギウォン牧師は、1000人もの脱北の手助けを命がけで行ってきた人物だ。

米CNNは、そんな彼を、1200人ものユダヤ人をナチスから守り抜いたオスカー・シンドラーにたとえ、「アジアのシンドラー」と呼んで称賛した。

ところが、韓国の公共放送KBSが昨年8月2日、メインニュースのトップで伝えたのは、衝撃的な彼の裏の顔だった。

彼は、フリースクールの寮に住んでいた10代の脱北少女たちに性暴力を加えていたのだ。彼の犯行は十数年に及んでおり、彼女たちは部屋やトイレに隠れて鍵をかけ、チョン牧師が通り過ぎるのを待つしかなかった。

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中にはそもそも自分たちのされていることが、犯罪被害であることに気づかない女性もいた。これは、北朝鮮の教育が思想に偏重しており、自分の権利、自分を守るための教育が全く行われていないためだろう。一般的な話だが、韓国にやってきてようやく自分が被害者であることに気づいたという脱北女性も少なからず存在する。

(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面

犯行は2006年から続き、少なくとも11人が被害に遭っていた。最年少は13歳の少女だった。チョン牧師は、脱北者コミュニティのカリスマ的存在という地位を利用し、時には「米国に留学させてやる」との甘言を、時には「今までの恩を仇で返すのか」との脅迫を行い、被害者の口封じを行っていた。

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フリースクールの教師とて牧師の加害行為を見て見ぬふりをしていたわけではない。ただ、牧師の存在があまりにも大きく、とても表立って問題提起できず、寝ずの番をするなどして、少女を守るくらいしか方法がなかった。苦しんだ末に学校を去った教師もいる。

状況が変わったのは、外部の目が入ってからだ。イベントの手伝いをするためにボランティアでやってきた人物が、偶然牧師による加害の一部始終を目撃してしまい、警察に告発した。それをきっかけに他の少女からの証言が相次いだ。

結局、昨年9月中旬、チョン牧師は逮捕、起訴された。韓国メディアは原則として、犯罪容疑者の実名報道を行わないが、今回は事案の重大さを鑑みて実名報道に踏み切った。

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KBSの報道後、米国在住の脱北女性が、2006年に被害を受けたとして2010年に告発したが、検察は証拠不十分と判断して不起訴となった。

検察は今回、懲役13年とGPS装着5年の刑を求刑した。そしてソウル地裁は先月、2016年から2023年までの間に5人の未成年に対する加害行為があったことを認め、被害者に絶対的な影響力を与えうる地位から犯行に及んでおり、またパワハラを伴っていたとして、懲役5年の実刑判決を下した。同時に被害プログラム80時間の受講と、5年間の児童、青少年、障害者関連機関への就業制限の措置も取った。

 

検察はこの判決を不服として控訴した。全国脱北民連合会、NK知識人連帯など韓国、米国、日本の27の団体は今月2日、「刑が軽すぎる」として、チョン牧師の重罰を求める嘆願書を発表した。さらには牧師が米国において募金の横領、脱税までしていたと、米国の韓国系メディアが報じている。