「アジア大会」に隠れて進められた、中国と北朝鮮の人権犯罪

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先月23日から今月8日まで中国の杭州で開催されたアジア競技大会。ジャカルタ大会以来5年ぶりに国際大会に復帰した北朝鮮は、日韓に敵意をむき出しにしたラフプレーなどが問題視された一方で、金11個、銀18個、銅10個の計39個のメダル獲得というまずまずの健闘ぶりだった。

スポーツの熱狂の裏で、脱北者が恐怖に震えていた。北朝鮮は2020年1月に、新型コロナウイルスの国内流入を避けるために国境を閉鎖し、強制送還の対象者の受け入れも拒否していた。それがついに再開されたのだ。

脱北に失敗して送還された人々に対しては、拷問や処刑など著しい人権侵害が加えられている。

(参考記事:北朝鮮の女子高生が「骨と皮だけ」にされた禁断の行為

脱北者の救出活動を行っているJM宣教会によると、中国当局はアジア競技大会の閉幕翌日の9日19時30分ごろ、吉林省の図們、琿春、長白、遼寧省の丹東など複数の場所から、中国国内で逮捕され強制退去処分を受けた脱北者を北朝鮮に強制送還した。JM宣教会は、今回の強制送還が中国と北朝鮮当局の事前協議に基づいて行われたと主張した。

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これに先立つ8月29日や、大会直前の先月18日にも、脱北者の北朝鮮送還が行われた。同宣教会が把握した数は合わせて500人に達する。

一方、韓国の聯合ニュースは、北韓正義連帯のチョン・ペドロ代表の話として、9日午後20時ごろに吉林省の琿春、図們、長白、遼寧省の丹東を通じて、脱北者600人が北朝鮮に強制送還されたと報じた。

JM宣教会の発表とは人数に差があるが、概ねの時間と場所は一致しており、このタイミングで数百人の送還が行われたのは事実である可能性が高い。北韓正義連帯はこの件を含め、2600人がすでに強制送還されたとも主張している。

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中国による脱北者の強制送還に対しては、多方面から警告が発せられてきた。

米議会と行政府の常設の合同委員会である中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)は6月13日、中国における脱北者問題に関する公聴会を開催。グテレス国連事務総長に対し、「中国が難民(脱北者)を強制送還しないよう説得するうえで影響力を発揮すべきだ」と促した。また、出席した議員からは、「(送還するなら)北朝鮮と中国は同じ人権犯罪者だ」との声も上がった。

ほかにも各国の人権団体が、中国の習近平国家主席宛に、脱北者の北朝鮮強制送還をやめるように公開書簡を提出するなどの動きを見せていた。しかし、アジア競技大会やロシアのウクライナ侵攻、パレスチナイスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突などに国際社会の視線が集中する中で、脱北者問題への関心と批判の声はさほど広がりを見せていない。