「理不尽で残酷すぎる」金正恩の幹部3人処刑に怒りの声

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北朝鮮ではここ最近、公開処刑が相次いでいる。牛肉の密売、医薬品の横流し、韓流コンテンツの販売など、以前なら労働鍛錬刑や教化刑(いずれも懲役刑)、あるいは罰金で済まされたようなことでも、処刑が乱発されている。

1990年代後半の未曾有の食糧危機「苦難の行軍」のころ、故金正日総書記は社会秩序混乱を抑止する「見せしめ」として、犯罪者の公開処刑や裁判抜きでの即決射殺など、荒っぽい手法を使っていた。今の北朝鮮は当時の「暗黒時代」が再現されていると言っても過言ではないだろう。

当時と同様に現在も、最高指導者(金正恩総書記)の指示なくしてこれほど公開処刑が乱発されるとは思えない。

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今回、デイリーNK内部情報筋が明らかにしたのは、平壌の貿易会社の幹部3人の公開処刑だ。

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3人の処刑は、党資金(朝鮮労働党への上納金)の課題(ノルマ)を達成できなかったというのが、表向きの理由だ。複数回督促しても一向に上納する気配がなかったため、検察所が彼らの自宅の家宅捜索を行ったところ、大量の金塊と外貨が発見された。ちなみに、北朝鮮では金塊の個人の所有が禁じられている。

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当局は「国が苦しいときなのに、国が許可した貿易活動を行い、私腹を肥やす考えばかりしていた」「国のカネをネコババした」「国のために働くべきイルクン(幹部)たちが、私腹を肥やすことばかり考えるから国が苦しくなるのだ」などと、現在の苦境の責任を彼らになすりつけて、死刑とした。財産はすべて没収され、家族は地方の寒村に追放となった。

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だが、今回の件を知った別の貿易会社幹部の関係者たちは、「党から命令された課題を達成できなかったというのは表向きの理由で、実際には他の理由で処刑されたのだろう」と疑問の声を上げている。

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貿易会社の幹部は一般的に、貿易を行う中で個人資産を得ており、当局はそれを知りつつも黙認していた。一般人なら所有しているだけで処刑されかねない金塊も、貿易関係者なら必ずしもそうはらないはずだという。それよりは、正式の輸入品に挟んで個人的に輸入した行為、つまり密輸が問題になったのかもしれない。

さらにこのような見方もある。

今年2月の最高人民会議第(国会に相当)14期第6回会議で、金徳訓(キム・ドックン)内閣総理は、次のように報告している。

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「対外経済部門で、国家の唯一貿易制度を還元復旧するための活動を引き続き推し進める」

コロナ前には中央と地方の党、内閣、軍などが運営する様々な貿易会社や、個人の業者が入り乱れて、てんでバラバラに貿易を行っていた。しかし、コロナをきっかけに一切の貿易が禁止され、昨年になってようやく段階的に貿易が解禁されていった。

貿易が活況を見せると同時に、密輸も再び行われるようになったが、それに対する見せしめとして、3人が処刑されたのではないかというのだ。

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貿易会社の関係者は「貿易を行っている人で、(公式許可を得た荷物の中に)個人的に売る品物を挟み込まない人がどこにいる。今回の処刑は理不尽で残酷だ」と怒りを示している。同時に、いつ自分がスケープゴートにされるかもわからず、非常にビクビクしているとのことだ。

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市場で売られている商品のほとんどが中国製という現状を、金正恩総書記は苦々しく思っており、以前から「輸入病」(何でもかんでも輸入に頼る風潮)の打破を訴えてきた。しかし、技術や原材料の不足から、輸入が止まれば国が傾いてしまう。そのことを実感したはずの3年半ではなかったのか。

「国家唯一貿易体制」という机上の空論を実現しようとする妄想のせいで、貴重な命が失われてしまったのだ。

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