「とても住めない」金正恩印の復興住宅、国民から苦情殺到

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2020年9月に朝鮮半島に上陸し、北朝鮮各地に爪痕を残した台風9号(メイサーク)。国内最大の亜鉛の産地である、咸鏡南道(ハムギョンナムド)端川(タンチョン)市の検徳(コムドク)鉱山も例外ではなく、大規模な土砂崩れなどで多くの住宅が破壊された。

その後、金正恩総書記の肝いりで、大量の人員投入による住宅復旧が行われ、国営の朝鮮中央通信や朝鮮労働党機関紙・労働新聞は今年1月、検徳地区の住宅の入居が行われたとして、山の麓に立ち並ぶ中低層の集合住宅と喜ぶ住民の姿を報じた。

だが、入居した人々からは強い不満の声が上がっている。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

住宅への入居は、建物の骨組みが組み上がった昨年秋から始まったが、今に至るまで、水道水が出ないのだという。マンションの場合は2階以上、平屋の場合は高地にある物件でそうした現象が起きている。また、年が明けてから入居が行われたマンションでも、4階以上では水圧が低くて水が出ない。

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情報筋によると、住民から「こんな状態ではとても住んでいられない」とする苦情の電話が殺到した検徳炭鉱の後方部と地元の朝鮮労働党委員会は、建設指揮部に知らせた。建設常務は「冬なので水道管が破裂しているかもしれないから当面は低層階で水を汲んでほしい、春になったら補修する」と述べ、同時に地域ごとに1〜2ヶ所の共同水道を設置することとし、現在工事が行われている。

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苦情は朝鮮労働党咸鏡南道委員会にも殺到。委員会は「手抜き工事ではないか」と責任追及に乗り出したが、建設指揮部は「ポンプをさらに設置しなければならないだけで、手抜き工事ではない」と強く反論している。

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情報筋は今回の事態について、「住宅の完成にばかり気を取られ、世帯数に応じた水道ポンプを設置しなかった。慢性的な資材、設備不足のためだ」と原因を挙げた。北朝鮮お得意の「速度戦」である。実際の性能を考慮せず、外見だけ「それなり」に作ったことは、広い意味での手抜き工事と言えよう。

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また、水害で電柱や変圧器なども流されてしまったが、その再設置が終わっていないことから、高層階まで水を汲み上げるためのポンプの電圧が確保できず、水圧が弱いことも一因だと情報筋は指摘している。

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