北朝鮮保衛局で「密室の鬼畜行為」…金正恩命令でも止まらず

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今年1月から今月8日までの時点で、中国キャリアの携帯電話を使った容疑で北朝鮮・両江道(リャンガンド)の保衛局(秘密警察)に逮捕された人が数百人に達することがデイリーNKの調べで明らかになった。そのほとんどが20代から40代の女性だ。

デイリーNKの内部情報筋が挙げた一例は、道内の金正淑(キムジョンスク)郡在住の30代女性、キムさんのケースだ。中国にいる知人と通話をしていたところ、電波探知機で探知され、郡の保衛局に逮捕された。

キムさんは7日間に渡って取り調べを受けた後で、両江道保衛局に身柄を移された。そこで彼女を待っていたのは、人権蹂躙だった。

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ひざまずかされ、足の間に木を挟むという韓国の時代劇に出てくるような拷問を受けながら取り調べを受けるだけでなく、ロープで天井からつらされたり、水に頭を突っ込まされたりするなど、様々な拷問を受けた。

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情報筋が挙げたもうひとつの例は、恵山(ヘサン)市在住の20代女性、パクさんのケースだ。脱北して韓国に住む人が北朝鮮に残してきた家族に仕送りをするにあたって、送金ブローカー業を行っていた彼女は、送金の過程で恵山市保衛局に逮捕された。

7日間の取り調べで、中国のメッセンジャーアプリWeChatで、北朝鮮国内の食糧の価格と為替レートの情報を国外に送ったことが露呈し、スパイ容疑をかけられ、両江道保衛局に身柄を移された。

そこでの取り調べで、パクさんは取調官や戒護員(看守)から性的暴行を受けた。繰り返される性的暴行にパクさんは大声をあげて抗議したが、今度は暴力を振るわれ、肋骨が折れて、最終的には絶命したとのことだ。

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このように保衛局では、暴言、暴行、拷問、性的暴行が繰り返されているが、スパイや国家反逆罪の容疑者は人間扱いされず、また施設内の様子は極秘事項として扱われているため、何が起きても加害者の責任が問われることはない。

情報筋によると、保衛局内での人権侵害のあまりの酷さに金正恩総書記は今年初め、それを諌めるように方針を下した。同様の方針や指示は以前にも下されているが、全く効果はないようだ。

(参考記事:金正恩氏が自分は棚に上げて秘密警察に「人権侵害やめろ」と指示か

市民の間には「一晩経ったら隣に住む人が捕まり、もう一晩経ったら裏に住む人が捕まった」(情報筋)という噂が流れ、街には殺伐とした空気が流れているという。そんな有様で、家族の間ですらもセンシティブな話はできない状況となっているとのことだ。

(参考記事:男たちは真夜中に一家を襲った…北朝鮮の「収容所送り」はこうして行われる

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ただでさえ、コロナ鎖国による経済不況で日々生きていくことすら精一杯の状況なのに、生き抜くために商売をしただけで、或いは憂さ晴らしに韓流ドラマを見ただけで捕まり、拷問や性拷問を受けた上で教化所(刑務所)、管理所(政治犯収容所)送りにされる。そんな取り締まりは時間の経過とともに緩和されるどころか、むしろ強化されている。

北朝鮮の国境沿いの地域に住む人々は、そんな先の見えないトンネルをひたすら歩かされているのだ。

(参考記事:長期化する非社会主義取り締まりで疲弊の度合いを深める北朝鮮国境地域