自国に新型コロナウイルス感染者はいないと主張しつつも、極端とも言えるコロナ対策を続ける北朝鮮。国外からのウイルス流入を恐れ国境を閉鎖し、貿易を停止、都市封鎖令(ロックダウン)を乱発した。物価が高騰し、食糧など物資全体が不足に陥るなど、北朝鮮国民はコロナそのものより、コロナ対策に振り回されている。
(参考記事:「焼くには数が多すぎる」北朝鮮軍、新型コロナで180人死亡の衝撃)(参考記事:コロナで外出禁止令、困窮の度合い増す北朝鮮国民)
「コロナ・パラノイア」に取り憑かれた北朝鮮当局は、エビデンスの有無を問わず、「やばそう」なものを次から次へと除去しようとしている。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、今月9日に穏城(オンソン)で「野良猫を撲滅せよ」との指示が下されたと伝えた。その理由は「中国からやって来る動物を通じてコロナが広がることを防止するため」というものだ。
川をはさんで中国と国境を接している穏城には、国境警備の強化のために、朝鮮人民軍の特殊部隊「暴風軍団」(第11軍団)と第7軍団が投入されている。彼らは国境に近づく者は人間でも動物でも即時射殺せよとの指示を受けている。
(参考記事:北朝鮮軍、コロナ対策で警告通り違反者を射殺)穏城と同じ咸鏡北道の会寧では昨年10月、暴風軍団の兵士がカラスを射殺する光景が目撃されている。また、両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、普天(ポチョン)郡の国境地帯では今月2日、飛んできた鳥に銃撃を加えた。人が撃ち殺される事例も後を絶たない。
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「野良猫撲滅令」も、これらと軌を一にするが、違うのは一般住民に対しても、動物の殺害を指示している点だ。これに対して住民からは一斉に批判の声が上がっている。
「野蛮すぎる指示ではないか」
「人も撃ち殺しているのに、猫を殺すことなど(暴風軍団らにとっては)朝飯前だろう」
中には「食べ物のありかをよく知っている猫が、人間の食糧すら不足している(北)朝鮮になぜ来るのか」と、当局の指示を皮肉る声も聞かれたという。
なお、人間を通じて猫や犬が新型コロナウイルスに感染した事例は報告されているものの、その数はごく少なく、また、猫や犬が人間に感染させた事例は報告されていない。