金正恩ルールの違反者「サラダ油」で処刑の危機

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北朝鮮では、買い占めと物価上昇が起きていると伝えられている。

平壌のデイリーNK内部情報筋は、新型コロナウイルスの流入防止のため、国家経済に「不要不急」の物資輸入を縮小する方針を示した朝鮮労働党中央委員会と内閣の共同決定書が通知されて以降、物価が上がり続けており、買い占めも起きていると伝えた。

また、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の平壌の情報筋は、1キロ35元(約530円)で安定していた食用油1キロの値段が、今では75元(約1130円)まで高騰し、より値段が上がることを見込んだトンジュ(金主、新興富裕層)が買い占めに乗り出したと伝えている。

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そんな状況下、食用油の密輸に乗り出す人が後を絶たない。デイリーNK内部情報筋によると、平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)では、税関幹部と結託して1000トンもの大豆油を密輸しようとした業者が摘発されている。

情報筋がこの話を伝えた4月26日の時点では、密輸業者に対する処分方針は決まっていない。しかし金正恩党委員長は、自ら指揮を取る防疫ルールに違反した者は軍法で処理するよう指示している。北朝鮮当局は社会の混乱に乗じた不正に対しては公開処刑を含む厳罰を下してきたこともあり、この業者の前途も危ういと言える。

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この業者は、4月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)に、家族でピクニックに出かけたりホームパーティをしたりする人々の需要が高まるチャンスを狙って、中国から食用油と調味料を密輸しようと企てた。

ちなみに、デイリーNKの定期的な物価調査によると、両江道の恵山(ヘサン)では、大豆油500グラムが2万北朝鮮ウォン(約240円)と高騰している。

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中国の業者から油と調味料を受け取った密輸業者は、卸売業者を通じて、市場の小売業者に売り渡したが、ここから疑惑が持ち上がった。

北朝鮮当局は、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐために今年1月末に国境を封鎖する措置を取っているが、小売業者が受け取った油と調味料の製造年月日が国境封鎖以降のものだったのだ。

不審に思った業者は当初、中国製に産地偽装した偽物であることを疑った。

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北朝鮮では偽物食品が流通しており、昨年には国内有名ブランドの焼酎に偽装した偽物で死者を出す事件に発展している。

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品物を納入した卸売業者に抗議したが、その過程で国境封鎖以降に中国から入ってきた品物であることがわかった。当初はいかにして輸入されたのかわからなかったようだが、後に「密輸業者が持ち込んだ」との噂が広がった。それに基づき、保安署(警察署)が捜査に乗り出した。

そして、今月18日ごろに密輸業者が摘発された。防疫事業所の係員に車に乗せられ、道内の予防院に連れて行かれ、検査を受けた後に、隔離を受けている。隔離されたのは本人だけにとどまらず、家族4人、濃厚接触を行った卸売業者やその周辺の人物も含まれている。苦労して取り寄せた商品はすべて回収、焼却処分されたという。

食うや食わずの生活を送り、生きていくために密輸に手を出したこの業者に対して、市民の間からは同情の声が上がっている。