北朝鮮が沈黙している理由は、おそらくひとつだろう。もうこれ以上、文在寅政権を相手にしないということだ。現に、祖国平和統一委員会は8月16日の報道官談話で、文在寅氏が「光復節」(8月15日)に際して行った演説で朝鮮半島の平和構築などを訴えたことを非難、「(韓国当局者と)これ以上話すこともないし、再び対座する考えもない」と宣言している。
それにしても、文在寅政権に対する金正恩氏の「無視」戦術は徹底している。日本も韓国政府による軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄などを受けて、敢えて騒ぎ立てない「無視」戦術を取っているが、金正恩氏のそれは日本以上の徹底ぶりだ。
共同宣言にまったく言及していないのも、何を言っても、韓国側に今後の展開への期待を抱かせてしまうと考えているからではないか。