北朝鮮では、食べ物から住宅に至るまで多くのものが無償または安価に配給され、現金なしでも暮らしていけた1980年代以前の給与体系が未だに残存しており、幹部と言えどももらえる月給は子どもの小遣い銭程度にしかならない。
そのため、何らかの許認可権や権力を持った人々は、それをフル活用、つまり「何々がほしいならワイロを払え」と要求し、生活費を稼ぐのが一般化している。
例えば保衛部(秘密警察)は、中国キャリアの携帯電話を使って中国や韓国と通話する人からワイロを得たり、海外に住む家族を持つ人から現金を掠め取ったりして収入を得ている。これではヤクザと変わらないが、そうでもしなければ生きていけないのだ。
つまり、そのような現実を全く無視した給与体系という根本原因が解決しない限り、いくら表面的な不正腐敗を取り締まったところで、何の効果もない。
(参考記事:脱北者からの「仕送り」に頼る北朝鮮…ネコババ警察官を処分)また、今回のような「見せしめ」についても「正常国家とは程遠い」との指摘もある。