WFPとFAOの報告書が北朝鮮側の一方的な情報提供に基づいて作成されているほか、そもそもこうした分析のすべての基礎となる総人口について、北朝鮮が大幅な「水増し」をしているのではないか、との主張がかねてからあるのだ。
しかし前述したとおり、北朝鮮社会は経済制裁の影響で相当に弱ってきている可能性がある。また、NOAAが確認したように、北朝鮮が深刻な干ばつに襲われているのは事実だ。
北朝鮮国営の朝鮮中央通信も15日、全国でひどい干ばつが続いているとして、「今年の1月から5月上旬までの全国平均降水量は54.4ミリで平年(128.6ミリ)の42.3%であり、これは同じ期間の降水量としては1982年(51.2ミリ)以後、最も少なかった」と発表。干ばつは少なくとも今月末まで続くと見られると伝えている。
そうなると、今年の秋の収穫はかなりのダメージを受ける可能性が高い。
金正恩党委員長は今月に入って2度も短距離弾道ミサイルの発射を行い、国際社会に対して強気な姿勢を見せた。だが、いま見え始めている様々な現象が交差し、ひとつの大きな「危機」として出現しても、同じような態度を取り続けることができるのだろうか。
(参考記事:「街は生気を失い、人々はゾンビのように徘徊した」…北朝鮮「大量餓死」の記憶)