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北朝鮮の首都・平壌は、それなりに公共交通が整っていることで知られている。2路線の地下鉄をメインに、3路線の路面電車、8路線のトロリーバス、数十路線のバスが縦横無尽に走っている。

一方でそれ以外の地方都市では、公共交通は皆無に近かった。1990年代までは運行されていたが、大飢饉「苦難の行軍」に加え、深刻な電力難、エネルギー難などで運行を中止してしまったからだ。最近になって一部で復活が伝えられているが、国際社会の制裁の影響が深刻化するにつれ、運行が再び中止されたところもあるようだ。

(参考記事:北朝鮮のトロリーバス運賃「200倍値上げ」の背景

ところが、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、そんな公共交通に利用すると思われるバスの車体が、中国から取り寄せられている。それも密輸によってだ。

中国にやってきた北朝鮮の新義州(シニジュ)市民がRFAに語ったところによると、北朝鮮の貿易機関は、中国の貿易会社に市バスの車体を大量に発注した。しかし、制裁措置により輸出はできない。

国連安全保障理事会で2017年12月採択された制裁決議第2397号では、北朝鮮への部品を含めた輸送車両の輸出を禁じている。市バスの車体ももちろん、例外ではない。そこで、北朝鮮の貿易関係者が思いついたのは、旧型のバスの車体の密輸だ。

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中国当局は、深刻な大気汚染の対策として、各都市の市内を走るバスを環境に優しいものに置き換えるプロジェクトを進めている。丹東では2011年に一部の路線でLNGバスが導入されたのを皮切りに、徐々に置き換えが進み、昨年末の時点で9割以上がハイブリッドバス、電気バスに置き換えられた。

元々走っていたバスは導入から5〜6年しか経っていないもので、廃車にするにはもったいなく、車庫に保管されていた。長い間使っていなかったので、修理と車体の塗り直しが必要で、その費用に2万元(約33万6000円)かかるが、充分に使える。

市バスの車体は、川を渡って北朝鮮に運び込まれるが、具体的な方法は詳らかでない。いずれにせよ、そう大量に運ぶわけにもいかず1週間にせいぜい5台程度だという。この費用にも2万元がかかる。そうすると、1台の価格は9万元(約150万円)に跳ね上がる。それでも新車の半分程度の価格だ。

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密輸は、国境を流れる鴨緑江の河口付近で行われていたが、最近になって中国当局の取り締まりが厳しくなったため、鴨緑江を遡ったところにある水豊(スプン)ダムよりさらに上流で行っているが、ここにも取締官がやってきて、密輸業者とのイタチごっこを繰り返している。リスクが高いため、密輸業者の中でもやりたがらない人が多いとのことだ。

車体の行き先はわかっていない。丹東の対岸の新義州(シニジュ)の情報筋は、修理した中国製の中古バスが密輸されているという話は聞いたことがあるものの、実際に市内で運行されてはおらず、他の都市に行くものと見ている。

なお、一昨年10月から4路線で運行が始まった新義州の市内バスだが、中国から輸入された中古バスを300台投入し、かなりの高頻度で運行されていたが、これらの車体が老朽化し故障したのか、運行間隔が広がってしまっているとのことだ。